花燃ゆ あらすじ◇第6話「女囚の秘密」
亡き父の遺産を貰い受けて欲しいと
たまたま野山獄にて文を見かけた彼女より申し入れがあった
翌日 文は野山獄を訪ねると久子が現れた
髪はほつれ 着物は着崩れているが息を飲む美しさである
文が久子を訪ねた理由は
高須家を訪ねたが
追い返されてしまったことを報告するためである
「何度でも 何度でも訪ねていただけませぬか?」
久子の美貌に見とれながらも文は「必ず」と約束した
一方 寅次郎の密航の企ては
薩摩の西郷吉之助ら日本中の志ある若者たちの心を動かしていた
江戸の伊之助も 長州藩士・桂小五郎らとともに
寅次郎のために尽力していた
そんな中 伊之助は萩に呼び戻され
野山獄で寅次郎と再会を果たした
「この藩は腐っておる」
ペリーの来航後 和親条約を結び戦は免れたものの
藩の異国に対する危機感のなさに焦燥を露にした
そしてその怒りは
金子の償いをしなければならないと言いながらも
動きのない寅次郎にも向いた
「ひたすら書物に没して己が傷つかんよう息を潜め生きる
それが償いか!」
「分からん!だが今が ここで己を尽くさねばならん・・・
それしかできん」
伊之助は悄然と野山獄を出た
何かせねばと心は急くのに
一人では何もなせないことがもどかしかった
文は高須家の者が久子を訪ねるという朗報を聞き
文はその場に立ち会うこととなった
翌日やってきたのは 高須家の少女 娘の糸だ
「・・・大きくなりましたね」
母と娘の対面に久子はそう話しかけるが
糸は冷たく義絶を言い渡し帰ろうとした
文が懸命に止めると糸は
「この人は母ではありません!
知っていますか この人の罪を
不貞です 二度と私に関わらないでください」
獄内にいるすべての者が息を呑んだ
文はもう一度母と話すよう説得したが糸は全く聞かなかった
久子は糸の方を毅然と見ると二度と姿を見せないと誓う
「それでも・・・今日は会えてうれしゅうございました
どうぞ・・・お帰りくださいませ」と久子
それに対して糸が「・・・私はあなたを恨みます」
そう言うと 糸はきびすを返して去っていった
「これでいいのです・・・覚えていますから うちがずっと」
そう言いやさしく微笑む久子に文は深々と頭を下げた
その夕方 獄中に変化があった
娘と決別した久子に
寅次郎が孟子の言葉を説いたのが始まりだった
「孟子の言葉に
『万物皆我に備わる 身を反みて誠あらば
楽しみこれより大なるはなし』とある
つまり一生獄の中にあろうと
心を磨き 己の心に目を凝らし 誠を尽くせば
人は生まれ変わることが出来る」
始めは興味のなかった囚人たちも
次第に寅次郎の言葉に激しく打たれていった
そして翌日から 中庭に集まった獄囚たちに
寅次郎は「孟子」の講義を始めたのである
驚いたのは面会に来た文と伊之助だ
「どうしてこねなことに・・・」
「俺には俺のやることがある
・・・胸をはってそう言えるまで あいつとは会わん」
そう決意し 面会を拒否する寅次郎だった
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